これからの時期、どうしても雨の多い日が多くなってきます。
一般的に梅雨時期になりますと、もちろん地域差はありますが週に3〜5日程度は雨が降ります。
「こんな梅雨時期に住宅塗り替え工事ができるのだろうか?」とお考えの人も多いと思います。
しかし、水分管理と湿度管理をしっかりと行えば塗装工事は可能です。
現に、新築工事の塗装は工期が設定されています。
「梅雨が明けてから塗装工事を行う」などと言うことは絶対にできません!
元請け業者と打合せを行いながら、塗装面の含水率と湿度をしっかり管理して施工していきます。
では、具体的にどの様な状況では塗装ができないのでしょうか?
まず最初に、雨が降っている時は塗装ができません!これは常識ですね。
次に、塗料メーカーが具体的に塗装の出来ない条件をカタログなどで示しています。
気温5°C以下、湿度85%以上及び結露が懸念される場合は、塗装を避けてください。
強風時や降雨・降雪のおそれがある場合は、塗装を避けてください。
とあります。
それから、重要なのが塗装面の含水率です。
含水率とは、物質に含まれる水分の割合のことで、通常は百分率(%)で表示されます。
塗装面の塗装可能な含水率は10%以下とされていますが、私は5%以下が望ましいと考えております。
しかし、測定結果が5%以下であっても,目視で下地表面が水分により黒くなっている場合は,表面が乾燥するまで施工しない様にします。
塗装の際は下地の表層10~20mm程度の深さまでの水分量が重要であり、この部分の含水率を計測して塗装可能かどうかを判断します。
含水率の測定方法は、住宅塗り替えの現場においては、一般的には電気式水分計を用いて測定します。
電気式水分計は木材、コンクリート、モルタル、ALCパネル等の部材に含まれる水分量(含水率)を電気抵抗や静電容量を測定する事により求める計測器で、電気抵抗や静電容量が水分量により変化する事を利用したものです。
湿度管理は、湿度計を用いて測定します。(ホームセンターや薬局等で販売されているデジタル表示のもので十分です)
もちろん、住宅塗り替えの現場においては、雨の日でも出来る作業はあります。
まず、作業用足場の設置・解体、外壁や屋根等の高圧水洗浄、窓等の養生バラシ、外回りの清掃や片付け等は雨の日でも出来ます。
また、降雨の無い日に雨養生(外壁面等が濡れないように軒先から足場へビニール養生をする等)をしておけば、窓周りなどの塗料で汚れたらいけない場所のビニール養生などは可能となります。
では降雨時や湿度85%以上、下地の含水率10%以上で施工した場合どのような不具合が発生する可能性があるのでしょうか。
●下地に水分が10%以上含まれている場合に発生しやすい不具合。
・膨れ
下地中に含まれている水分の蒸発により、塗膜を押し上げてしまう現象です。
・密着不良
下地水分が、下塗剤塗布時に素地内部への浸透を妨げ接着力低下を引き起こします。
●湿度が85%以上の場合に発生しやすい不具合。
・膨れ、密着不良
湿度が85%以上の場合は、結露を生じやすくなり上記の膨れ、密着不良も起こりやすくなります。
・艶引け(ブラッシング)
溶剤系塗料の場合、ブラッシングと呼ばれる艶引けを起こします。
塗膜の乾燥中に水分の影響を受け、艶が引け表面が白っぽく見えます。
・塗膜のタレ、流れ
水性塗料の場合、水分の影響を受け乾燥時間が長くなりタレや流れが生じてきます。
乾燥時間が遅くなり、塗膜が下の方へタレてきます。
その量が多くなると流れたように下の方にポタポタと落ちてきます。
塗装面が綺麗に仕上がらないのはもちろんのこと、塗装面の基礎巾木や土間を汚すことにもなりかねません。
そのほか、塗膜乾燥前に雨に直接打たれますと、塗膜表面に雨跡の凹凸が残ります。
●梅雨時期の住宅塗り替えのメリット
各塗装業者全般にいえることですが、梅雨時期は受注件数が少なくなります。
逆に梅雨入り前、梅雨明け後は繁忙期に入ります。
梅雨時期は塗り替え工事はできないと考えられているお客様が多く、どうしても受注件数は少なくなります。
しかし、受注件数が少ないと言うことは、業者には時間はたっぷりあると言うことです。
打ち合わせや色決めなどもゆっくりと行うことが出来ますし、業者によっては見積りにない場所の塗装(ポストや外灯等)を行なってくれる業者もいます。
塗り替えを検討中の人は、その辺りも含めて施工業者と一度じっくりと話をされては如何でしょうか?
●塗装時期の住宅塗り替えのデメリット
含水量や湿度管理をしっかり行わないと、雨に述べたように膨れや密着不良などの不具合を引き起こす場合がある。
雨の日が多くなると工期が長くなります。したがって工事期間は長めに見ておいた方が良いでしょう。
工期が長くなると窓や換気扇等のビニール養生期間も長くなり不快に感じることもあります。
また、エアコンの室外機もビニール養生しますので、エアコンが使えない事もあります。
晴れた日は、工事業者が出入りしますので、せっかく晴れているのに洗濯物が外に干せない事もあります。
そのような事も踏まえて、施工業者と工事のことを事前打ち合わせが必要となります。
しかし、工事の期間が長くなると言うことは、お客様自身が施工の進捗具合や施工状況を確認できるという事でもあります。
●最後に
最後に梅雨の時期でも住宅塗り替え工事はできます。
湿度管理(85%以下)、水分管理(5%以下)条件を満たしていても降雨が予想される場合は施工をしない、などの条件を守れば工事は十分可能です。
塗装業者全般にいえる事ですが、梅雨時期は工事の受注量が少なくなり空きがあります。
この時期だから受けられる、サービスやキャンペーンを行っている業者もあります。
塗装工事の工期が長くなる可能性がりますので、エアコンや換気扇は使えるのか、洗濯物は干せるのかなども着工まえに十分打合せしましょう。
それでは動画でどうぞ!
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